足のリハビリテーションを始める前に |
■足の特徴
| 足はスポーツで最もケガをしやすい部位といえます。中でも足首の捻挫の発生頻度はとても高く、軽く捻った程度の軽症のものから骨折を伴う重症な場合まであります。 足首の捻挫はコンタクトスポーツにおいて頻繁に発生することから軽視されがちですが、状況によっては後遺症になってしまう場合もあります。また、完全に回復しないままスポーツに復帰してしまう場合も多く、捻挫を繰り返してしまうケースが多い部位でもあります。 | |
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≫足には沢山の骨と靭帯がある
人間の足は重要な役割を担っているので、とても複雑な構造になっています。足には沢山の骨が存在し、その数は片足で26個にも及びます(左図)。人間は身体全体で約200個の骨があるといわれているので、その割合からしても重要性が伺えます。
足は沢山の骨で土ふまず(アーチ)を形成し、運動などによる衝撃を吸収する役割があります。そのため、それらをつなぎ合わせる靭帯の数も多く、すべてが協調的に機能しています。
足首の動きは靭帯(右図)によって安定性を保っていますが、スポーツ活動中のコンタクトプレーやジャンプの着地などで、バランスを崩して足首を強く捻ってしまうことがあります。すると足首の靭帯がその負荷に耐えきれずに切れてしまうのです。
≫足のケガには種類がある
スポーツで発生しやすいケガの状況例 |
・バスケットボールでゴール下のリバウンドで相手選手のシューズの上に着地して捻挫をした。 ・バレーボールでアキレス腱が痛くなったが、とくに対処もしないでいたらアキレス腱炎になった。 ・野球のベースランニングでベースに足が引っ掛かって捻挫をした。 ・サッカーで足の小指の痛みが気になったが、そのままプレーしていたら疲労骨折した。 ・ランニング中に足裏の痛みが出現したが、とくに対処もしないでいたら足底筋膜炎になった。 ・etc |
足のケガで最も頻繁に発生するのは足関節捻挫ですが、それ以外にもスポーツ活動中にはさまざまなケガがあります。瞬間的に大きな力が加わって靭帯が切れたり骨が折れたりする場合や、長期的に小さな力が加わって靭帯が切れたり骨が折れたりする場合があります。また、競技によってもケガの種類ごとの発生頻度が大きく異なります。
主なスポーツ傷害 | 説明 |
足関節捻挫 (そくかんせつねんざ) ホットフラッシュ、めまい | 足首が過度に捻じれた場合、その力に耐えられずに靭帯が損傷してしまいます。体重が足首に乗ってしまった状態で捻じれると、その損傷度合いが高まってしまいます。また、ジャンプが多い競技では、着地時に他者の足に乗ってケガをする場合が多くあります。 |
足関節捻挫 + 骨折 ( + こっせつ) | 足首を強く捻った際の衝撃が強すぎて、靭帯の損傷に加えて骨折をしてしまった状態です。捻挫だけを判断して放置され、後になり大きな後遺症となってしまう場合があります。 |
足関節捻挫 + 軟骨損傷 (+ なんこつそんしょう) | 足首の一回の捻挫ではなく、捻挫を繰り返していくうちに足関節の軟骨が少しずつ削れてしまった状態です。捻挫を繰り返すと関節も緩くなってしまい、捻挫に関係なく痛みが出現する場合もあります。 |
疲労骨折 (ひろうこっせつ) | 疲労骨折とはスポーツ活動などの繰り返しによって、足の一部分に衝撃が加わり続けることで発生します。発生する部位は様々ですが、一番多いのが小指の骨(第5中足骨)です。 |
アキレス腱の炎症・損傷 (あきれすけんのえんしょう・そんしょう) | アキレス腱の炎症は使いすぎ症候群の一つであり、運動量や用具の見直しが必要になります。アキレス腱断裂は急激な方向転換やダッシュなどで発生し、完治には長期間を有します。 |
足底筋膜炎 (そくていきんまくえん) | ランニングやジャンプの繰り返しによって足の裏の筋肉が疲労し、足底筋膜の緊張が高くなって炎症を引き起こします。多くの場合、踵の骨の内側に圧痛があります。 |
偏平足障害 (へんぺいそく) | 足裏のアーチが低下した状態を偏平足と呼びます。偏平足であること自体では痛みはありませんが、偏平足の状態が疲労骨折や足底筋膜炎などの様々な障害を発生させる一因となります。 |
リハビリテーションの実践方法 |
■患部の保護
≫足のケガは保護が難しい!
足のケガはスポーツ現場で最も頻繁にみられます。頻繁に発生することから応急処置に対する知識がある人も多いようですが、その反面では多くの人がケガに対して軽視する傾向もあります。足首を捻ったと自覚していても、「今は痛くても時間が経てば治るだろう」っと考えている人が多く、その状態でプレーを続けて再捻挫を経験した人は少なくないと思います。
また、ケガをしても足を使用しないで移動することは困難であり、多少の痛みであれば我慢して動いてしまうことが多くなります。
足のケガの場合、その多くは初期の適切な処置によって完治します。骨折を伴うような重症の場合でも、専門家とともに適切な治療とリハビリを実施すれば、早期復帰も可能です。
≫早期診察がリハビリ期間を大幅に短縮さる!
足が痛い場合や腫れが気になる場合は、整形外科の病院で診察してもらいましょう。痛いというだけでは原因が特定できないので、医師の診察やMRIなどの画像検査などによって診断名を特定してもらいます。
ケガは発生の後、どれだけ迅速で適切な対処ができるかが、スポーツ復帰の時期に大きく関係しています。「時間が経てば治るだろう」などと自己判断しないように注意してください。その待っていた時間のせいで、スポーツ復帰が遅くなるケースがよく起こってしまいます。
≫リハビリの方針と発生原因を聞いてくる
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ケガからのスポーツ復帰を目指す前に、まずは普通の状態に回復させなくてはなりません。そのためには、どれぐらい安静にした後に足を動かしてよいのかを医師や理学療法士に確認しておきましょう。とくに手術をした場合にはリハビリのスケジュールが重要になるので、確認しながら注意深く進めるようにしてください。ここで安易な行動をとると取り返しのつかない事態になってしまいます。後遺症を残さないためにも、慎重に取り組みましょう。
また、同時に発生原因も説明してもらいましょう。発生原因はある意味では、あなたの身体の特徴ともいえます。原因を明確にして対処(治ってからは予防)しないと、同じことの繰り返しになってしまいます。専門家の見解も聞いた上で、自分でも考えてみましょう。自分の身体について新たな発見があるかもしれません。
■柔軟性の回復
≫W-UPエクササイズをしよう!
足のストレッチを行いますが、いきなりグイグイ伸ばすのは危険です。まずは、今日の痛み度合いや動きの状態を確かめながら、軽く足首回しを行いましょう。また、指先の動きをだすために、大きな動きでグーパーをゆっくりと繰り返します。痛みの無い状態で回し、各1分程度の実施で十分な効果があります。
足周りの動きは指先やふくらはぎの動きの影響を大きく受けます。したがって、足のリハビリでは足底の筋肉と下腿の動きが重要なポイントになります。
≫足のストレッチをしよう!
足の柔軟性を回復させるためには足底や下腿のストレッチを行いますが、痛みに対して無理や我慢をしないで、深呼吸をしながらリラックスして取り組みましょう。とくにケガをしていると、足首周りを深く曲げていく際に痛みを感じる場合が多いので注意してください。静的ストレッチの目安としては筋肉が伸ばされている姿勢を保ち、30秒間以上の静止をするのがポイントです。また、反動や弾みをつけるとケガを引き起こしますので、十分に注意してください。動的ストレッチは可動範囲をゆっくりと広げるように動かしていきます。筋肉の伸びを感じながら、痛みを感じない範囲で動かしていきましょう。下記以外にもたくさんのストレッチがあるので、色々な方法を実践してみましょう。
静的ストレッチ
(ゆっくりと動かさないで伸ばしていくストレッチ)
下腿後面のストレッチ | 下腿前面のストレッチ |
脚を前後に開いてつま先を前に向ける |
つま先を地面に引っかけて伸ばす |
動的ストレッチ
(ゆっくりと動かしながら伸ばしていくストレッチ)
指先・足先回し | 底背屈 |
指先や足先を手で持って軽く動かす |
足首の動く範囲をすべて動かすように |
■筋力の回復
≫足を安定させる色々な筋肉を鍛えよう!
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足部や足首を安定させるためには足底や下腿の筋肉など、複数の筋肉が協力して働くことで安定しています。足の裏にある足底筋膜や指先を動かす筋肉は足部のアーチを保ち、荷重時に衝撃を和らげる働きがあります。従って、スポーツ動作に多いランニングやジャンプ動作で疲労しないためにも、しっかりと鍛えておきましょう。また、意外にも複雑な動きをしている足首は、様々な細かい筋肉によって精密に動いています。トレーニングの動作自体はとても地味ですが、重要な筋肉なので頑張って鍛えましょう。
方法は各項目、10回程度を目安に繰り返してください。ここでの筋力トレーニングでは、強い負荷で実施したり素早く動かしたりすることは禁物です。筋肉の強化目的以外にも、正しい動作フォームの習得も目的ですので、ゆっくりと軽い負荷で丁寧にトレーニングしていくのがポイントです。
ボールキャッチ&リリース | 片脚バランス |
指先でクッションボールを掴む |
不安定なマットやクッションの上に片脚立ち |
≫足を動かす大きな筋肉を鍛えよう!
足は体重を支え、末端で地面と接している重要な部位です。二足で動く駆動力とバランス力が要求され、さらにスポーツ活動では色々な切り替えしに耐えうる動きと柔軟性が要求されます。また、足は立位でいる際には常に重力が加わっており、無理な重量でのトレーニングはすぐに悪化する可能性があります。痛みの度合いや炎症症状(腫れ、熱感など)をみながら強度を調節してください。
反復回数の目安は、動作フォームをしっかりと保ったまま、「キツイ!」と感じる程度としましょう。動作フォームが崩れてしまったり、楽に感じてしまったりするようでは負荷が適切ではない証です。反動をつけることなく、ゆっくりと動作を実施することがポイントです。
カーフレイズ | スクワット |
つま先立ちを繰り返す |
足首の可動範囲を意識しながら行う |
■協調性の回復
≫足を意識的に動かしてみよう!
足の柔軟性、安定性、筋力が回復してきたら、今度は各能力が協調的に働くように訓練していきます。捻挫などの足のケガを発生する場合の多くは、身体のバランスを崩した状態で発生する場合が多くなります。足のバランス力と全身のバランス力がしっかりと連携できるようにトレーニングをしていきましょう。
まずは回数や時間を意識しないで、しっかりと動作がおこなえているかに意識を集中させましょう。
正確な動作フォームを覚えてケガから復帰した後には、これらの動作がスポーツ活動前のウォーミングアップにも有効利用できます。しっかりと正しいフォームを習得しましょう。
ボールプレス | 片脚バランス・ボール拾い |
バランスを保ちながらボールをプレスする |
片し立ちを保ったままボール拾い |
ジャンプスクワット | ワンレッグ ホッピング |
着地の衝撃を和らげながら少しずつ |
ジャンプスクワットになれたら片脚でジャンプ |
■競技別能力の回復
≫ステップ動作のリハビリをしてみよう!
ステップ動作は全身運動となるため、ここまでに高めてきた能力を全体的に必要とします。素早く体を動かすということは、全身の力強さと連動性が求められます。素早いフットワークを必要とする球技はもちろんのこと、様々なスポーツに必要な能力といえます。
サイドステップ | クロスステップ |
徐々にスピードを上げてみましょう |
捻じれる動きに注意しながらステップ |
テンポチェンジ ラン | シャトル ラン |
スピードの変化に対応できるように |
強い負荷がかかる切り返しの練習 |
≫進め方のポイントを理解しよう!
アスリハの最終段階にある競技別能力の回復では、より段階的に進めていくことが重要です。身体は同じ負荷が続くと、最初は適切な負荷だったものが慣れてしまいます。しかし、身体にかけた負荷が強すぎるとケガを引き起こしてしまいます。したがって適切な負荷とは、今の身体では少しキツイ負荷であることが重要です。さらに少々慣れてきた段階で負荷を少し高めることが鉄則です。負荷の高め方は工夫次第で色々な方法があります。
遅く→速く : ランニング、ステップ、投球、などの動作速度を調節する方法 低く→高く : ジャンプ、アタック、トレーニングの身体位置、などの高低差を調整する方法 弱く→強く : 打撃、シュート、スパイク、などの強度を調整する方法 軽く→重く :使用する道具、トレーニング重量、対戦相手などの重量を調整する方法 |
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